Apple Music 100ベストアルバム

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Hounds of Love

ケイト・ブッシュ

50

ポップなフックとアヴァンギャルドな音響彫刻がミックスされた、唯一無二の傑作。

ケイト・ブッシュが1978年にリリースした最初の2作のアルバム『The Kick Inside』と『Lionheart』が1970年代アートロックからの影響下にある作品だったとすれば、1985年発表の5作目『Hounds of Love』は、単に時代性を反映しただけではなく、時代を定義するような作品となった。ゲートリバーブをかけたドラム、擬似的なダンスビート、不気味なボーカルエフェクトに加え、一度聴いたら忘れられない普遍的なシンセサイザーのメロディを持つ「Running Up That Hill」は、間違いなく1980年代中期のポップサウンドを代表する曲の一つだ。そして、アルバムは、プログレッシブロックの野心をデジタル時代に移植することに最も成功した作品だといえるだろう。

「彼女の声はあまりに美しくて、もし自分が彼女と一緒に歌って同じ音程を取ることができたなら、いつか自分も本物のシンガーになれる可能性が少しでもあるはず、と本気で信じてしまうほどだった」

アラニス・モリセット

男女の間に横たわる溝、母の愛の激しさ、夢の本質など、大きなテーマに取り組んだこのアルバムでは、優しさと力強さを併せ持つケイト・ブッシュの声が、息をのむほどのパワーを秘めた楽器となっている。1985年当時、このような作品は他にはなかった。そしてある意味、ポップな聴き心地と前衛的なサウンドスケープが巧みに融合されたアルバムは、以降も登場していない。それだけではなく、『Hounds of Love』は、ビョーク、フィオナ・アップル、トーリ・エイモス、Joanna Newsomといった次世代ミュージシャンたちに、探求すべき世界を切り開いたのだった。